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「みらいチャレンジプログラム」~私たちはこんな想いで準備しています!~

 「みらいチャレンジプログラム」は、外国にルーツを持つ15歳から20歳の若者に、視野を広げる力をつけ、進路を考えたり新しいことにチャレンジしたりする場を提供するプログラムです。

今回は、企画を共同で進めてきた住友商事のプロボノチームのメンバーとglolabメンバーの想いを、座談会形式でお伝えします。私たちの想いが届きますように。



企画者

 黒江:住友商事プロボノチーム。エネルギー事業に従事。2020年10月よりglolabと協働中。
 井上:住友商事プロボノチーム。資源事業に従事。2020年10月よりglolabと協働中。
 李澍:NPO法人glolab、本プログラムの担当コーディネータ。北海道大学大学院生。
 人見:NPO法人glolabコーディネータ。年少者日本語教育が専門。

座談会



人見:プログラムの中身がだんだん決まってきました。さっそくですが、プログラムコーディネータの李澍さんより、このプログラムに参加した外国ルーツの若者に期待すること、参加した後こうなってほしいなということを教えてください。

李澍「考えること、悩みことから逃げないこと」です。
企画した最初の時は、もっと広く世界が見られるようになって、将来について今までよりも広い選択肢が取れるようになってほしいなと思っていました。ですが、将来を考えることってめんどくさいことで、やっぱり楽な方へ行きたいじゃないですか。みんな高校に行くから私も高校に行く、高校終わったら、なんとなく大学かな、大学の中でどこにしようかなって、考えてきている人たちが多いと思うんです。外国ルーツの高校生って、やっぱり日本語の壁とかがあったり、お金の面で悩むことがあったりで、選択肢が狭まるし楽な道のりではないと思うんです。なので、早いうちに将来についてしっかり考えて、悩むことが大事。まずはそこから始めたいと思いました。

この合宿でみんなが悩むきっかけになればいい。そこからどういう選択をするかはわからないですが、まずは、進路を考えることは”面倒くさいこと”じゃなく”大事なこと”というメッセージが届けばいいと思います。そこからそれぞれが悩んでくれて、でももし悩むことでやっぱりつらくなったら、glolabが引き続きフォローしていきたいと思っています。

人見:それは李澍さんの実体験にも重なりますか?

李澍:「一つ一つの選択を自分の意思で決めた」という自信はあります。もしかしたら、中学生や高校生の時にもっといろいろなものを見ていたら、もっと悩んだかもしれないです。でも最大限できる悩みはしました。最善の選択肢って絶対ないですし、結局、人間は欲張るので。あの時こうすればと思うことはありますけど、”いや、でもあの時はあの時で最大限の悩みをしたからこれでいいんだ”って言えればいいですよね。

人見:たぶん李澍さんが悩んで自分で選択したという納得感があるから、今いる自分に対しても自信を持てたり、みんなにもこういうふうに頑張ってほしいと思えるのだと思いますね。その意味でも、「もっと悩んでほしい」。そして、悩むための種をまくからこのプログラムに参加してほしい、と理解しました。

井上:本当に大事なポイントだと思います。悩んで迷って、”今はこれで行くんだ”と決めて進むのか、”なんとなくこっちでいいや”と進むのかで大きな差がうまれると思っています。悩んだ上で「行く」と決めた人は、その道が茨の道であっても”すごい!”と思いますし、周りも助けてくれます。ですので、”悩むってこと大事なんだよ”と気づかせてあげたいという李澍さんの想いには賛同します。

人見:悩むことが大事だというメッセージが伝わりました。そうしてもらうために、このプログラムにはどんな特徴がありますか?

李澍「若者たちが楽しみながら自然と学ぶことができること」です。キャリアって、大学生とか社会人にとってはすごく一般的な言葉かもしれないけど、若者にとっては「進路」はまだしも、「キャリアって?」と思うはず。そこでハードルを感じないようにしたい。勉強しに来たっていうよりも、「自分と同じ経験をした子たちに会える」とか、「なんか楽しそうなことができそう」とか、思ってもらいたい。そんな風に、楽しみながら自然と学ぶことができるプログラム設計にすることを一番大事にしました。

人見:”楽しみながら”ということですが、例えばこういうことというのを、教えてもらえますか?

李澍「外に出て何か新しい世界に触れること」です。今回は、オンラインで、北海道の浦幌町でフィールドワーク、仕事体験、実際に浦幌町の方のライフストーリーを聞きます。また、コロナの状況が改善されれば、来年に実際に浦幌町で事前に決めたチャレンジワークをしたり、浦幌町の方と交流したりします。高校生のみなさんは、普段それぞれの地域に住んでいて、学校以外のイベントに参加する機会があまりないと思うので、新しい世界に触れることは楽しいと思います。私は中学2年生の時に、ある合宿に参加するために東京から北海道に行った際、想像していた日本の姿と違う暮らしに触れて、刺激を受けましたし、世界が広がりました。その実体験から、同じような刺激を今の若者たちにも与えたいですし、その楽しさを伝えたいと思います。

人見:黒江さんにはプログラムの企画のサポートに入っていただいていますが、自分の中でアレンジしていることはありますか

黒江:はい。「事前学習のワークショップ」を色々と工夫しました。このワークショップは、将来の自分の仕事を考える上で、まず「自分の内面を知る」ということをテーマに、「自分の好きなこと」と「自分の得意なこと」をみんなで見つけていくというワークショップになっています。実体験から、自分を知ることだったり。どんなことが向いているのかとか、得意なのかとかを考えることが大切なのかなと思いました。ぜひアイデアとして知ってもらえたら、何かのヒントをつかんでもらえたらいいなと思います。

人見:すごい楽しいですよね。そして、一つのチームの中でも、社会の縮図があるんだなっていうことを、なんか考えさせら、見せてくれるワークショップなのかなと思っていて、自分がどういう立ち回りができるのかとか役割ができる人なのかっていうことを知れる、面白いワークショップだと思います。

李澍:考えてると、どんどんこういうこともできる、こうつけられるって思えるのが楽しいですよね。このワークショップもプログラム全体にも言えることですが、「自分がどうしたらいいのかな」いうのを主体性をもって楽しく考えられるようになっています。

井上:このプログラムは、参加者がいつもと違う環境に身を置いて取り組むことになります。ですから、参加するということだけでもとても主体的なことですし、プログラムを通して様々な刺激を受けながら考えることができるように工夫されています。私は、自分で決めて行動することが、昔はとても苦手でした。でも、「今ここでもうちょっとがんばったら、また新しい自分が見えてくるよ」という誰かの後押しがあったからこそ乗り越えられたことは経験からわかっていて、そういうことが少しでもできたらいいなと思っています。

人見:ありがとうございました。みなさんの熱い想いが出てきたところで、最後に参加を検討している外国ルーツの若者に一言ずつお願いします。

黒江:「みらいチャレンジ」という言葉にもあるように未来に期待してほしいと思いますね。たぶん参加したら、人とのつながりができると思うので自分ひとりで悩んでいたことが実はそんなに大きいことではなかったりとか、新たな発見にもつながるかもしれません。あまり気負わず気軽に、楽しみにして参加してもらいたいなと思います。きっとたくさんのいい出会いとかつながりが持てると思うので、それだけでもきっと自分の財産になるのではないかなと思うので楽しみにしてほしいです。

井上:自分の足で進んでいけば必ず道は開けますし、進んで行った人に対しては必ず助けてくれる人がいます。大事なのは自分の足で一歩前に進むことだと思います。それは何歳になっても同じです。どんな所属でも同じです。そういうきっかけをぜひつかんでくれたらいいなと思います。一緒に参加してくれたら嬉しいです。

李澍: いろんな環境の中にあって、いろんな悩みを持っていると思うのですけど、どうしようかなと思ったらりあえずやってみましょう。この前、ご協力頂いている北海道の浦幌町の下見に行き、色々な方に会って話をしましたが、皆さん外国ルーツの若者にすごく興味を持ってくれて、「自分達は知らなかったけど、ぜひ応援したいです」とたくさん声援を頂きました。みんなで待っています。

人見:助けてくれる人はまわりにいますからね。自分で前に進めばどうにかなるんだと、あまり深く考えずに参加してほしいですね。


執筆・ファシリテーション:人見 美佳
編集:景山 宙