順天中学校・順天高等学校の英語探究授業にて講義を行いました
特定非営利活動法人glolab(グロラボ)は、順天中学校・高等学校(東京都北区)にて代表理事柴山智帆、コーディネータ上村カルロスが「日本に住む外国にルーツを持つ子ども・若者の現状」というテーマで、講義を行いました。
順天中学校・高等学校は将来国際的に活躍できるグローバル・リーダーを育成するためのスーパーグローバルハイスクール(SGH)研究開発実績校です。高校生の海外派遣を定期的に行っており、国際理解、語学や国際性などあらゆるプログラムにより国際社会人材を育成しています。また、急速に多文化化する日本にも目を向け、順天中学校・高等学校の生徒による外国にルーツを持つ子どものサポートも始めています。
ワークショップ 概要
■ 日時:2021年2月16日
■ 授業名:英語探究授業
■ 講演者:特定非営利活動法人glolab
代表理事 柴山 智帆
コーディネータ 上村 カルロス
■ 参加者:順天中学・高等学校の皆様
■ 参加人数:18名
■ 講義形式:対面授業
■ ねらい:
1. 多様な文化的背景をもった人が日本で学校教育をうけ、日本社会で生活していることを知る
2. 多様な文化的背景をもった人とともに、学ぶこと、暮らすことについての気づきと気づきの共有
最初に、外国にルーツを持つ子どもとはどういう子どもたちなのか考えてもらいました。そして生徒と同世代の外国にルーツを持つ子ども・若者がどのような課題を抱えているか現状と課題にふれ、glolabが課題解決のために取り組んでいるプロジェクトを紹介しました。


次に、ペルー生まれのコーディネータ上村カルロスより、中学2年生で来日し日本語が分からない状況で教育を受けなくてはならない四苦八苦した実体験を伝えました。経済的に困難な状況で高校に進学し、アルバイトをしながら好きな仕事をみつけた経験を話しました。今では中南米旅行を専門とする旅行会社で働きながら、NPO法人AMIGO PROJECTをたちあげたり、テレビ出演をしたりして日本でペルーの紹介をしながら日本人とペルー人はアミーゴになれる社会を目指していることを、実体験として語りました。

講義の中で、中高校生が持つ”ペルーのイメージ”の「マチュピチュ」「アルパカ」「アンデス山脈」「インカ帝国」などを取り入れながら、上村カルロスの生まれ育ったペルーの紹介をしました。
そしてペルーはインカ帝国の古代ペルー人がスペインによる植民地時代という歴史を経てスペイン語やキリスト教を受け入れたこと、また、スペイン植民地時代に奴隷として連れてこられたアフリカ黒人、奴隷制度排除後の中国人、移民としての日本人や白人と言った多種多様な言語・文化・人々が交わる国となっていった事も話しました。
そのペルーで生まれ育った上村カルロスの環境も白人、黒人、日系と多彩、あらゆる民族と一緒に学校にいるのも「当たり前」だった環境から一遍、「自分だけが違う」と感じた日本での経験を中高生に伝え、多様な文化的背景をもった人と学ぶこと、暮らすことについて「外国にルーツを持つ子ども」としての辛い経験などを楽しいエピソードも交えて話し伝えました。


ワークショップでは「外国ルーツならではのあるある」をテーマに、「部活が厳しすぎる!」「ペルーのお弁当が恥ずかしい」「進路相談、悩みを相談する人がいない」など上村カルロスの経験を紹介しました。その中で、「自分だけが違う」「特別扱い」「目立つこと」を避けたい気持ちは外国にルーツを持つ子どもだけでなく参加している中高校生たちも「ある!ある!」と共感し、”ルーツ”に関係ない共有のテーマも一緒に発見しながらのディスカッションを行いました。
講義後のアンケートによる感想からもわかるように、参加頂いた中高生たちは多様性に対する意識や国際理解への関心も高く、この講義をうけて私たちglolabとしても学ぶところの多い時間でした。お呼び頂いた順天中学・高等学校の方々、ご参加頂いた中高校生の皆さまに改めて御礼申し上げます。
中高校生の皆さまの感想(抜粋)
“日本語を教えることとか、外国ルーツの方などの話を聞いてあげるだけでもいいのでその人たちのちょっとした心の支えができるようなことをしてみたい。”
“言語が違うだけで相談もできず理解もしてもらえないのがとても 辛いことだと思い印象に残りました。”
“いつも普通と思っている日本のことが外からみたら、普通じゃないということを知れた。”
“言語の壁によって、自分か伝えたい事、知りたい事を十分に得られないのは大変だと感じた。”
“文化の違いから、普通にしていても他の国では目立ってしまう事があること、またそれで悪気が無くても怒られる事がある為、色々な場面で外国人は苦労していると感じた。”
“日本語教える学習支援教室などで働くボランティアを集める活動したい。”
“外国にルーツのある人の大変なところや、日本の文化はどう感じているのかよくわかった。情報をどんどんまわして、外国ルーツの人にも住みやすい環境そつくることが大切だと思った。”
報告: 柴山智帆 / 上村カルロス